大阪地方裁判所 昭和37年(ワ)1573号 判決
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〔判決理由〕<証拠>を綜合すると、原告は、大阪市中央卸売市場において鮮魚介類の販売をせり売りの方法によつて行つているものであるが、そのせり売りに参加して買受の申込をなしうるものは鮮魚部仲買人か又は大阪市から売買参加の許可を受けたものに限られること、被告宮本健は、大阪市から右市場における鮮魚介類のせり売りに参加しうる許可を受け、「一三五」番の売買参加章を受けていたこと、右売買参加章は薄い鉄板で作られ、その中央に一三五の番号、上部に所属団体名、下部に宮本なる記載があり、この売買参加の許可を受けた者がせり売りに参加するときは必ず右売買参加章を自己の着用する帽子の正面につけなければならないこととされていたこと、右売買参加章は一人に一ケづつ与えられていて売買参加の許加を受けた本人又は大阪市の承認を得たその代理人だけがこれを着用しうるもので、それ以外の者に貸与することは禁じられており、右売買参加章を紛失したときには直ちに大阪市にその旨を届出ねばならず、その場合には大阪市から原告にその通知がなされることとなつていたこと、原告の行うせり売りにおいてはせり落し人が決まると販売人はそのせり落し人を右売買参加章の番号で呼び上げ、売上伝票三通を作成し一通を大阪市、一通をせり落し人に交付し、一通を原告の控とするほか代金の請求伝票二通を作成して一通を右売買参加章の番号別に設けられている状差しに入れておき、せり落し人は自己の番号の状差しに入つている分を持ち帰つてその代金を商品受渡日の翌日正午までに現金又は小切手で原告に支払う方法で取引が行なわれており、右各伝示の買受人の記載はすべて右売買参加章に記載された番号のみをもつて表示されること、右せり売りは一日一回早朝に七、八ケ所で同時に行なわれ約一時間で終了するが、一つの売り場に三〇人ないし四〇人の売買参加者が集まり、一日に合計三〇〇トンないし三五〇トンもの商品が売買されるものであるから、原告はせり売りを始める際に参加者の資格を一々審査したりその氏名を確かめることはできず、参加者が帽子につけている右売買参加章の番号のみを頼りとして販売をなしていること、ところが被告宮本健は昭和三二年頃飯田正義に対し、原告に断ることなく右一三五番の売買参加章を貸与し飯田正義が自ら帽子にこれをつけてせり売りに参加したこと、そのため原告の販売担当者は、右一三五番の売買参加章の着用者を被告宮本健又はその代理人であると信じて売買取引をなし、昭和三二年七月一四日から昭和三三年一〇月一三日までの間に、飯田正義に対し継続して鮮魚介類を売渡しその代金は合計金一四、五〇七、五三〇円となり未払残額金一、三四七、二三〇円となつたことを認めることができる<証拠判断略>。
以上の事実を考え合わせると、被告宮本健が大阪市から交付を受けた売買参加章に記載された一三五番の番号は原告との間の鮮魚介類の売買取引に関する限りにおいて被告宮本健の氏名又は商号を表象する機能を有するものであるということができ、被告宮本健は飯田正義に対し右売買参加章の一三五番の番号を使用して原告から商品を買受けることを許諾し、原告は右売買参加章を着用した飯田正義を被告宮本健又はその代理人であると誤認して取引をしたのであるから、被告宮本健は商法二三条により飯田正義の原告に対する右売買代金債務につき連帯して弁済の責に任ずるものというべきである。(山本矩夫)